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Soil matters

​002  不耕起・草生栽培の試験

 土壌動物の立場から言わせてもらうと、畑の管理で土を耕すことほど土壌動物にとって困ったことは

ない。

 

 長い土壌生態系の進化の歴史において樹木が倒れたり、動物が掘り返したり、斜面が崩れる時以外、

畑で耕すように土がひっくり返ることはない。ところが畑では、年に何回も丁寧に土がひっくり返されるし、細かく砕かれることもある。

 

 不耕起栽培は北米やブラジル、ヨーロッパなどでは農地の基本的な管理となりつつある。ところが日本では、試験研究はされているものの、農家が採用する例は少ない。私たちは日本の自然農の管理にヒントを得て、「不耕起・草生栽培」の試験地を設け土壌の変化が作物の生育や、地上生物の動態にどのような影響があるかを調べている。

 素人農家のようなものだからうまくいかないこともあるが、横浜国立大学構内や福島県内の試験では

我ながらうまくいったと思う栽培もできている。

 夏はダイズ、冬はコムギというように作物を固定して試験地を増やす方法を採っている。6月はコムギの収穫前のサンプリングで忙しくなる。

 

May 27, 2018

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​001  土は生きている

 土壌の研究は、化学性や物理性を中心に行われてきた。しかし、土壌は生きているのだから、生物として扱うべきである。これまで土壌を生物として扱ってこなかったことが、世界的な土壌の劣化を引き起こしてきた。

 農地の土壌を注意してみるようになって、死んだような土壌が多いことに気がついた。固く乾いた感じがする土壌は、頻繁な耕うんと、化学肥料や除草剤の散布で雑草さえ生えていない。土壌をわざわざ調べなくても、土壌生物の数や量、そして多様性は極端に低い。

 

​ 雑草といえど、植物が元気に育つ土壌は、まったく違う。有機物と団粒に富む土壌は、生物に満ちあふれている。とても簡単なことであるが、多くの人はこの違いがわからないらしい。

Apr.15, 2018

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