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About

金子 信博

​Nobuhiro Kaneko​

・1959年 長崎県生まれ

・1991年 島根大学 農学部 助教授

​・1998年 横浜国立大学 環境科学研究センター 助教授

・2001年 横浜国立大学 環境情報研究院 教授

・2018年 福島大学 農学系教育研究組織設置等準備室

・2019年 福島大学 農学群 食農学類教授

・2024年 定年

      横浜国立大学名誉教授​福島大学特任教授

・土壌生態学

 土壌生物の多様性、土壌生態系の機能

福島大学 農学群食農学類

・非常勤講師

 放送大学神奈川学習センター

Message

 土は陸上の全ての生命を支えています。私は、これまで土壌の無脊椎動物(ササラダニ、トビムシ、ババヤスデ類、フトミミズ類)の地理分布、生活史、群集構造などについて調べるとともに、それらが土壌微生物や植物とどのような相互作用のもとに物質循環を駆動しているかについて研究してきました。このような研究分野は「土壌生態学」と呼ばれ、2007年に「土壌生態学入門(単著)」、2018年に「土壌生態学(編著)」を出版し、成果の普及にも努めてきました。そして、世界の研究者と地球規模土壌生物多様性イニシアチブ(Global Soil Biodiversity Initiative)という活動を進めています。

 土の健康を維持するためには、私たちが常識だと思ってきたことを見直す必要があります。たとえば、土を耕すことや雑草を除去することは、土の健康を損ないます。日本で実践されている「不耕起・草生栽培」は、土壌の生物多様性を保全し、土壌の機能を高めるためには理想的な方法であり、各地に試験地を作って土壌の機能だけでなく、農法の改善も行っています。

 福島第一原子力発電所の事故によって環境中に放出された放射性セシウムは、森林土壌を広く汚染しました。私は、木質チップを林床に敷設して微生物を繁茂させることで除染をする方法を開発しました。この方法は植物を利用した除染の100倍程度の効率があり、森林の利用を継続しながら、除染を進めることが出来ます。

 普段、私たちは土の生きものを意識しませんが、土の生きものの活動をうまく利用することが、持続可能な農林業には必須です。耕さない農業が生態学的に無理のない方法であることを「ミミズの農業改革」(みすず書房)という本にまとめました。

 

 これからも、持続可能な農林業のために斬新な研究を展開します。

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